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フランチャイズ通信簿 編集部

「定食屋で脱サラ」を真剣に考えた私が、やよい軒・かつや・ジョイフルを比べてわかったこと

「定食屋で脱サラ」を真剣に考えた私が、やよい軒・かつや・ジョイフルを比べてわかったこと
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date: 2026-04-20

サラリーマンを15年やっていると、「定食屋をやりたい」という気持ちが不意に芽生える瞬間がある。

私がそれを最初に感じたのは、昼休みにいつも通っていたやよい軒で、ふと「ここはFC店なのかな?」と思ったときだった。混んでいる。回転が早い。メニューは絞られている。明らかに「儲かりそうなモデル」に見えた。

その日の午後、仕事中にこっそりやよい軒のFC加盟ページを調べた。初期費用800万〜1,000万円。「え、これだけ?」と思った。飲食で独立するには3,000万〜5,000万円が当たり前だと思っていたから、その数字は私の直感を刺激した。

それから3ヶ月間、私はかつや・ジョイフル・まいどおおきに食堂など、定食ジャンルの主要FCを調べ続けた。加盟説明会にも2社足を運んだ。最終的に加盟はしなかったが、この調査から学んだことは多かった。今日はその記録を残しておく。

やよい軒の「低コスト」には理由がある

やよい軒は確かに、定食チェーンの中では初期費用が低い部類に入る。800万〜1,000万円という数字は、同業他社と比べてもかなり抑えられている。

ただし、この「低さ」には構造的な理由がある。やよい軒は「ランチ特化型」の業態だからだ。客単価は700〜900円台が中心で、夜の需要は限定的。つまり、売上の大半を11〜14時の3時間に稼ぐモデルになっている。

これは何を意味するか。ランチタイムを外れた時間帯のスタッフコストが重くなる、ということだ。パートタイムスタッフをランチに合わせてシフト管理する技術が求められる。ランチに行列ができるような立地でないと、投資回収が遅くなる。

加盟説明会で私が担当者に「月商の目安は?」と聞いたとき、「立地によって大きく変わります」という答えが返ってきた。当然の回答ではあるが、「立地がすべて」というモデルであることを改めて実感させられた。

やよい軒で成功しているオーナーは例外なく、「オフィス街のランチ需要が高い場所」か「ロードサイドで幅広い客層が取れる場所」を持っている。それ以外の立地では、苦戦している加盟者も少なくない。

やよい軒は「いい立地を持っている人向けのFC」だと理解するのが正確だ。初期費用が安いから始めやすい、ではない。

かつやの「自動化」は本物だった

次に調べたのがかつやだ。「職人不要」というフレーズに半信半疑だったが、実際に説明会で仕組みを聞いて納得した。

かつやは独自開発した自動フライヤーを導入しており、調理工程の多くを機械が担う。タイマー管理でカツを揚げるから、未経験スタッフでも一定の品質が出せる。これは嘘ではない。

ただし、「職人不要」はあくまでカツ揚げの部分に限った話だ。仕込み・ソース・ご飯・接客・清掃のオペレーション全体は人間が担う。QSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)の維持は、スタッフ教育にかかっている。自動化されているのは一工程に過ぎない。

初期費用は5,000万円前後で、やよい軒より大幅に高い。それでもこの水準が「割安」と感じられるのは、かつやが客単価が高めだからだ。ランチ平均単価900〜1,100円に加えて、ディナーのカツ定食・テイクアウトも取り込める。ランチ依存度がやよい軒より低い分、売上の時間分散が期待できる。

私が調べた加盟者の声の中で印象的だったのは、「厨房作業が標準化されているから、スタッフ教育のコストが予想より低かった」というコメントだった。確かに、オペレーションが複雑なほどスタッフ教育は難しくなる。単純化されたモデルは、それ自体がコスト削減につながる。

かつやは、初期費用は高いが収益モデルが安定している。飲食経験がなくてもスタートしやすい業態だと思った。

ジョイフルは「エリア」がすべてを決める

ジョイフルは九州で圧倒的な存在感を持つファミリーレストランで、630店舗(2025〜26年時点)という規模感は他のFC候補と比べてもかなり大きい。

ただし、私は関東在住だったため、説明会担当者に「関東での出店はどうか?」と聞いた。答えは率直だった。「ブランド認知がないため、立ち上がりに時間がかかります」。

これは正直な回答だと思う。ジョイフルの強みは九州・西日本での知名度と地域密着感にある。そのブランドの恩恵を受けられないエリアでの出店は、事実上「無名のファミレス」として戦うことになる。

一方で、初期費用2,000万〜5,000万円というレンジは、業態のサイズ感を考えると標準的。九州在住・もしくは西日本でのFCを検討しているなら、ジョイフルは真剣に候補に入れる価値がある。

FCの強みはブランドの恩恵を受けられることにある。エリアを外れるとその恩恵がゼロになる——この原則は定食チェーンでも変わらない。

私が最終的に「加盟しなかった」理由

3ヶ月調べ続けて、私が出した答えは「今の自分には合わない」だった。

理由は3つある。

第一に、立地が確保できなかった。 やよい軒で儲かっている店舗の条件(オフィス街・高トラフィック)を満たす物件を、自分の予算内で見つけることができなかった。FRを選ぶのではなく立地を選ぶのだ、という事実に直面した。

第二に、パートタイムスタッフの採用・管理が自分には荷が重かった。 現職でマネジメント業務を担っているが、飲食店のシフト管理・採用面接・スタッフのモチベーション維持は別の種類のスキルが必要だと感じた。特に、時給競争が激しい地域では、採用だけで心が折れそうだった。

第三に、資本が足りなかった。 やよい軒でも実際には「初期費用800万円+運転資金6〜12ヶ月分」が必要だ。初月から黒字になる保証はない。私の手元資金では、万が一の赤字継続に耐えられなかった。

これらは「FC側の問題」ではなく、「自分の準備不足」だ。フランチャイズは仕組みを提供してくれるが、経営に必要な立地・人・資本を用意するのはオーナー自身だということを、調べる中で痛感した。

定食FCを検討するなら、これだけは確認してほしい

調査を通じて、「加盟前に絶対に確認すべきこと」が3つ明確になった。

「儲かりますか?」という質問には意味がない。「月商いくらから黒字になりますか?」「その売上を出している店舗は何割ですか?」という具体的な問いを投げかける。

FCの法定開示書類には、過去3年間の加盟・解約・廃業件数が記載されている。「加盟件数100件・解約件数30件」なら3割が撤退していることになる。この数字を無視して加盟するのは危険だ。

テリトリー権(商圏保護)の有無と、その実効性を確認する。定食・ファミレス業態は競合が多い。本部が「近隣に同ブランドを出店しない」保証があるかどうか、契約書に明記されているかを必ず確認すること。

最後に——「定食屋の夢」は消えていない

加盟しなかった今も、「定食屋をやりたい」という気持ちは消えていない。ただ、かつての「なんとなく儲かりそう」という直感は、具体的な条件に変わった。

いい立地が確保できること。採用市場が整っているエリアであること。運転資金を12ヶ月分以上用意できること。そして、飲食オペレーションの基礎を学ぶ時間を作ること。

この4つが揃ったとき、私はもう一度加盟説明会の扉を叩くつもりだ。

フランチャイズは魔法ではない。でも、条件を整えた人にとっては強力な武器になる。そのことを、3ヶ月の調査で学んだ。

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