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フランチャイズ通信簿 編集部

「動物が好き」だけでペットFCを始めた人が、1年後に気づいたこと

「動物が好き」だけでペットFCを始めた人が、1年後に気づいたこと
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date: 2026-04-20

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「いつか、動物と関わる仕事をしたい。」

そう考えたことがある人は、少なくないと思う。特に、会社員として10年・15年と働いてきた人の中には、犬や猫と一緒に過ごす時間が癒しになっていて、「この好きを仕事にできたら」と思っている人が一定数いる。

フランチャイズという選択肢は、そういう人にとって魅力的に映る。看板・仕入れ・研修がセットで提供される。未経験でも始めやすそうだ。ペット市場は成長している——本部の資料にはそう書いてある。

ただ、実際に加盟した人たちの声を集めていくと、「動物が好き」という動機だけで始めた人ほど、1年後に苦しんでいるという共通パターンが見えてくる。

本記事では、ペットフランチャイズの現実を業態別に整理する。夢を壊したいわけではない。正確に知った上で判断してほしい、というのが私たちの立場だ。

ペット市場は「成長している」——でも、何が成長しているのか

本部資料によく書かれている「ペット市場は成長」という文句は、厳密に言えば正確ではない。

実際に成長しているのは、「ペットに使う1頭あたりの消費金額」だ。飼育頭数は2019〜2025年にかけてむしろ横ばいに近い。犬の飼育頭数はピークから減少傾向にあり、猫が微増している。

一方で、ペットを「家族の一員」として捉える意識の高まりから、ペット保険の加入率・プレミアムフード・医療費・グルーミング費用はいずれも増加している。「高価値化」が進んでいるのだ。

つまり、市場が成長しているのは上位層・サービス型の話であり、価格競争が激しい生体販売・普及品ペット用品の分野では利益を出しにくくなっている。この区別を理解しないまま加盟すると、期待と現実のギャップで苦しむことになる。

ペット市場の成長を享受できるのは、サービスの質・差別化・客単価を追求できる事業者だ。看板があるだけでは足りない。

生体販売型:一番「ペットが好き」な人が向いていない業態

ペットショップFCの中で最も規模が大きいのは、生体(犬・猫)の販売を含む総合業態だ。クーアンドリクのような大手は220店舗以上を展開し、トリミング・ペットホテル・ペット用品も併設する。

一見すると理想的に見える。毎日かわいい動物に囲まれて働ける。そう思って加盟した人の話を聞くと、開業から数ヶ月で「こんなはずじゃなかった」という声が出てくる。

生体販売の現実は、「命の在庫管理」だ。

犬・猫は生き物だから、日々の健康状態の変動がある。病気になれば医療費がかかる。長期在庫(売れ残り)が発生すれば、飼養コストが膨らむ。成長に伴い「販売適齢期」を過ぎた個体の扱いは、精神的にも経営的にも難しい問題を引き起こす。

さらに、2022年の改正動物愛護法施行後、生体の飼養・展示環境に関する法的基準が厳格化されている。この対応を本部がどこまでサポートしてくれるのか、万が一法令違反と認定された場合のリスクをどちらが負うのか——これらを契約前に徹底的に確認しないと、後で痛い目を見る。

加えて、生体販売にはクレームリスクが常につきまとう。「買ったばかりの子犬が病気だった」「思っていた性格と違う」——こういったトラブルは避けられない。動物への愛情が強い人ほど、このクレーム対応で心が折れやすい。

生体販売型は、経営力・法律知識・クレーム耐性が必要な「上級者向けFC」だと考えておくべきだ。

トリミング・サービス型:意外と高い「技術の壁」

「トリミングサロンなら、動物に触れる仕事ができてリスクも低そう」——そう考える人は多い。実際、生体販売を含まない業態はコンプライアンスリスクが低く、初期費用も比較的抑えやすい。

ただし、この業態には別の壁がある。「技術者の採用と育成」だ。

トリミングは専門技術が必要だ。一人前のトリマーになるには数年の経験が要る。FCに加盟しても、研修でトリミング技術を習得できるわけではない(オーナー自身が技術者になる場合を除く)。つまり、オーナーはトリマーを雇用し続けなければならない

問題は、トリマーは引き手あまた(求人が常に多い)の状況で、採用・定着が難しいこと。時給を上げれば人件費が経営を圧迫する。スタッフが辞めれば、即日売上がゼロになるリスクすらある。

実際、トリミングサロン系FCで苦しんでいるオーナーの多くが「スタッフの確保と定着に一番時間とお金を使っている」と言う。

一方で、リピート率の高さはトリミング業態の大きな強みだ。信頼を得たお客様は月1〜2回のペースで通ってくれる。固定客が積み上がれば、安定した収益が見込める。技術者採用の課題さえ解決できれば、比較的安定した経営ができる業態だ。

「オーナー自身がトリミング技術を持っているか、技術者を長期的に雇用できる仕組みがあるか」——これがトリミングFCの成否を分ける核心だ。

訪問ペット火葬:意外な「穴場」だが、精神的ハードルがある

「ペット火葬FCなんて……」と思う人もいるだろう。しかし、この業態に注目している加盟希望者が増えている背景には、冷静な市場分析がある。

初期費用120万円〜(車両リース別途)という低投資は、他のペット業態と比べると圧倒的に少ない。店舗を持たず、1人・車1台で開業できる。固定費が低いため、損益分岐点が小さい。

市場的にも、飼育ペット数に対して訪問火葬の供給は不足気味の地域が多い。特に地方では、ペット火葬業者自体が少なく、需要が取りやすい環境がある。

では、なぜこの業態を選ぶ人が多くないのか。答えは明快だ。「遺体を扱う」という精神的ハードルと、悲しみの中にいる飼い主に寄り添うコミュニケーション能力が必要だからだ。

これは向き不向きがはっきり分かれる。「人の悲しみに寄り添うことが自然とできる」「葬儀や別れの場面で冷静かつ温かく対応できる」——そういう人にとっては、むしろやりがいの大きい仕事になる。

実際にこの業態に加盟した人の中には、「最初は怖かったけれど、飼い主さんに感謝されるたびにやって良かったと思えるようになった」と語る人もいる。

「ペットが好き」というより「ペットを愛する人の気持ちに寄り添える」人向けの仕事と言えるかもしれない。

加盟前に確認すべき3つのこと

ペットFCを検討するなら、以下の3点は必ず確認してほしい。

生体を扱う業態は都道府県への動物取扱業登録が必要。本部が申請手続きをサポートしてくれるかを確認する。

本部紹介の加盟者だけでなく、自分でSNSや口コミサイトで探して話を聞く。本部紹介の加盟者は「良い話」しかしない場合が多い。

特に生体販売型は、顧客トラブルの件数が開示書類に記載されるケースがある。本部に「過去5年間のトラブル件数」を書面で確認することを躊躇しないでほしい。

最後に——「好き」を活かすための正しい問いかけ

ペットが好き、という気持ちはビジネスを続けるエネルギーになる。それ自体は間違いではない。

ただ、加盟前に自分に問いかけてほしいことがある。

「私は動物が好きなのか、それとも動物と関わるビジネスがしたいのか?」

動物が好きなら、ボランティアや里親活動でも気持ちは満たせる。ビジネスとして成立させたいなら、動物への愛情に加えて、採用・財務・法務・クレーム対応の能力が求められる。

それが両立できる人だけが、ペットフランチャイズを「夢と現実が重なる仕事」にできる。

あなたがどちらの人間かを、加盟前にきちんと見極めてほしい。

フランチャイズ通信簿では、393以上のFCブランドの加盟金・ロイヤリティ・評判を中立的にまとめています。加盟前の情報収集にぜひご活用ください。

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