おそうじ本舗フランチャイズ加盟の現実 — 業界最大1,700店舗の収益構造と加盟前に知るべきこと【2026年版】
「ハウスクリーニングで独立したい」と調べていると、必ず目に入るのがおそうじ本舗だ。1,700店舗を超える日本最大のハウスクリーニングFCであり、地域の折り込みチラシでも、インターネット検索でも、圧倒的な存在感を持つ。
ただ、「最大手だから安心」という理由だけで加盟を決めることには慎重になってほしい。私が運営するフランチャイズ評価データベースでは、国内800社超のFCデータを分析しているが、規模と加盟者の実際の収益は、必ずしも比例しない。
この記事では、おそうじ本舗への加盟を検討している人に向けて、公開データと業界の実態から、できるだけ客観的な情報を整理する。
おそうじ本舗の基本データ
おそうじ本舗は、エアコン・浴室・キッチン・換気扇など家庭向けハウスクリーニングを専門とするFC。2026年時点で国内1,700店舗超と、ハウスクリーニング業界で圧倒的なシェアを持つ。
初期投資の目安:約350万〜500万円
この金額には、研修費・専用機材・薬剤一式・ユニフォーム・車両マーキング・システム初期費用などが含まれる。飲食FCや小売FCと比べると、開業コストは比較的抑えられている部類だ。
ただし、加盟金とロイヤルティ率は公式サイトで非公開となっており、資料請求・個別説明会に参加しないと詳細が分からない仕組みになっている。ハウスクリーニングFCの業界相場として、ロイヤルティは売上の8〜12%程度が多いが、おそうじ本舗の実際の数値は説明会で確認する必要がある。
この「非公開」という点は、後述する加盟判断の重要な論点になる。
ハウスクリーニングの収益構造を理解する
おそうじ本舗に限らず、ハウスクリーニングFCの収益は「件数 × 単価 − コスト」のシンプルな構造だ。
サービス別の単価目安(2026年市場相場)
- エアコン1台クリーニング:8,000〜15,000円
- 浴室クリーニング:15,000〜25,000円
- キッチンクリーニング:20,000〜35,000円
- 換気扇クリーニング:15,000〜25,000円
- 引越し後の全体清掃(1LDK):40,000〜80,000円
1日2〜3件をこなせば、売上は3〜5万円の計算になる。月20日稼働で月商60〜100万円が一つの目標ラインだ。
ここから差し引かれるのが、ロイヤルティ・材料費(売上の15〜20%)・車両維持費・保険料・広告費だ。これらを差し引いた後の手取りは、月20〜40万円程度になるオーナーが多いと言われている。
注意すべきは、材料・薬剤の多くが本部指定購入品になっているケースがある点だ。市場より割高な場合もあり、これが「隠れた仕入れコスト」として機能する。加盟前の説明会で必ず確認したい。
競合4社と比べて見えること
ハウスクリーニングFCの主要プレーヤーを比べると、おそうじ本舗の立ち位置が見えてくる。
| FC名 | 店舗数 | 初期費用の目安 |
|------|--------|-------------|
| おそうじ本舗 | 1,700超 | 350〜500万円 |
| ダスキン | 2,000拠点超 | 500〜3,000万円 |
| カバーオール | 約900 | 250〜500万円 |
| おそうじ革命 | 約330 | 400〜650万円 |
おそうじ本舗の強み
- ブランド認知度: テレビCMや口コミで名前が通っており、初対面の顧客でも安心感を得やすい
- 本部からの顧客紹介: ウェブ予約・コールセンター経由で一定数の仕事が流入する仕組みがある
- 開業コストのバランス: ダスキンの最大3,000万円と比べると、350〜500万円は現実的な選択肢に見える
おそうじ本舗のリスク・弱み
- 1,700店舗が意味するテリトリー競合リスク: 全国に1,700のオーナーがいる中で、自分の担当エリアが適切に確保されているかが重要になる。テリトリー管理の実態は、説明会で必ず確認すること
- 費用の透明性の低さ: 加盟金・ロイヤルティ率が非公開であることは、検討初期に全体コストを把握しづらくする
- 体力仕事の継続性: 重い機材を運び、狭い場所で中腰になりながら数時間作業する。これを何年も続けられるか、自分の体力と相談が必要だ
加盟前に必ず確認すべき5つのポイント
説明会に参加したら、以下の5点を必ず確認してほしい。表面的な説明で流されないよう、具体的な数値・条件を引き出すことが重要だ。
① ロイヤルティの計算ベース
「売上の〇%」なのか「粗利の〇%」なのか、あるいは「定額制」なのかで、手元に残る金額が月10万円単位で変わることがある。閑散期の売上が少ない月でも定額ロイヤルティが発生するか、確認が必要だ。
② テリトリー(担当エリア)の具体的な定義
「この市区町村全域がテリトリー」という言葉を信じるのは危険だ。本部経由の紹介案件の配分ルール、テリトリー外からの顧客受注の可否、新規加盟者が近くに入ってきた場合の対応方針を、書面で確認しよう。
③ 既存オーナーへの独自ヒアリング
本部が案内する「成功事例オーナー」だけでなく、自分で地域の業者リストや口コミサイトを探して、独立したオーナーにコンタクトを取ってほしい。「紹介されないオーナー」の話が、最も重要な情報になることが多い。
④ 法定開示書(情報提供書面)の精読
フランチャイズ本部は、中小小売商業振興法に基づき、加盟前に書面を交付する義務がある。過去3年間の加盟者数・退会者数・訴訟件数・主要な変更事項を丁寧に読む。特に「退会者数」が多い年があれば、その理由を必ず聞くこと。
⑤ 解約・出口条件の詳細
解約時の違約金額・残存期間の扱い・購入した機材の引き取り有無を明確にしておく。機材は本部から指定価格で購入するケースが多く、解約後に自力で売却できないと損失が大きくなる。「最初から解約を考えるな」という本部の言葉に、加盟者の出口を見えにくくする意図が隠れていることがある。
こんな人には合う・合わない
ハウスクリーニングFCの向き不向きは、比較的はっきりしている。
おそうじ本舗FCに向いている人
- 体を動かすことが苦にならず、肉体労働を長期継続できる
- 顧客と1対1で関わることに抵抗がない
- 自分で営業・集客を動かせる(ブランドに頼りきらない)
- 専業で、独立から3年は生活費を別に確保できる資金がある
向いていない・注意が必要な人
- 開業初期から複数のスタッフを雇う前提でいる(人件費が早期に赤字要因になりやすい)
- 「本部から仕事が来る」ことを前提に事業計画を立てている
- 繁忙期(夏・年末)と閑散期の収入差を吸収できる余裕がない
- 机上の計算(1日3件×20日=月60件)をそのまま初年度の売上として見込んでいる
読者へのメッセージ
おそうじ本舗は、日本最大のハウスクリーニングFCとして実績を積み上げてきたブランドだ。認知度の高さと本部の顧客紹介仕組みは、独立初期の集客において一定のアドバンテージになる。
ただ、加盟金とロイヤルティが非公開である点は、加盟検討において慎重に向き合うべき事実だ。費用を開示しない本部には、それなりの理由がある。理由が「個別交渉の余地を持たせるため」であれ「競合に知られたくないため」であれ、あなたは説明会に参加して初めて全体像を知ることになる。
「最大手だから安心」という直感は、FC選びの判断基準にはならない。1,700人のオーナーがいても、そのうちの何人が今年退会したか、どれだけの人が当初の想定通りの収益を上げているか——これを確認してから判断を下してほしい。
フランチャイズ通信簿では、おそうじ本舗を含む国内1,700社超のFCデータを独自の視点で整理・公開している。加盟前のデータ確認に活用してほしい。