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日高屋が初のFC展開を始めた——直営450店の王者が「のれん分け」に踏み出す理由と、加盟者にとっての損得

日高屋が初のFC展開を始めた——直営450店の王者が「のれん分け」に踏み出す理由と、加盟者にとっての損得
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date: 2026-04-14

2026年4月3日、新潟県に1軒の中華料理店がオープンした。

看板には「熱烈中華食堂 日高屋」の文字。390円のラーメン、290円の餃子。首都圏の駅前でおなじみのあの店だ。

しかしこの店は、これまでの日高屋とは決定的に違うものだった。

日高屋史上初のフランチャイズ店だったのだ。

「直営だけ」を貫いてきた日高屋が、なぜ今FC展開を始めたのか

日高屋を運営するハイデイ日高は、1973年の創業以来、一貫して直営出店にこだわってきた企業だ。

首都圏の駅前1階に絞ったドミナント出店戦略で450店舗超まで拡大し、2026年2月期には売上高620億円超、営業利益65億円と2年連続で過去最高益を更新した。

普通に考えれば、「うまくいっているのだから、わざわざFCを始める必要はない」はずだ。

直営のメリットは明確だ。品質管理を本部が完全にコントロールでき、利益もすべて自社に入る。FCにすれば加盟店への指導コストが発生し、ブランド毀損リスクも生じる。日高屋が50年以上もFCに手を出さなかったのには、ちゃんとした理由がある。

では、なぜ今なのか。

答えは「首都圏の限界」にある。

日高屋の450店舗超はほぼ全て首都圏(1都3県)に集中している。駅前1階という好立地を押さえ続けてきたが、首都圏の主要駅はほぼ出店済みだ。これ以上の成長を直営だけで実現するのは難しい。

そこで選んだのが、地方のパートナー企業とのFC提携という道だった。

提携先は新潟の食品スーパー「オーシャンシステム」

日高屋が最初のFCパートナーに選んだのは、新潟県を地盤とする食品スーパー「オーシャンシステム」だ。

ここが重要なポイントなのだが、日高屋は「個人の加盟希望者を広く募集する」という一般的なFC展開はしていない

既に地域で物流網や雇用基盤を持つ企業と組んで、その企業が日高屋の看板で出店するという形態だ。オーシャンシステム側にとっては、自社のスーパー事業で培った食材調達力や人材管理ノウハウを外食に転用できる。日高屋側にとっては、未知の地方市場に自社リソースを投入するリスクを避けられる。

約10店舗の出店を計画しているとのことで、いきなり大量展開ではなく、まずは1地域で慎重に始めるスタンスだ。

直営チェーンがFCに踏み出す時——過去の事例から見えること

実は、直営主体だったチェーンがFCに踏み出す動きは日高屋だけではない。過去にもいくつかのパターンがある。

成功パターンとして知られるのは、餃子の王将だ。直営とFCのバランスを取りながら全国展開を進め、FC加盟者の独立支援制度(社員独立制度)も充実させている。

一方で警戒すべきパターンもある。最近の「鰻の成瀬」の事例は記憶に新しい。3年で400店舗超に急拡大したが、2026年3月末時点で120店舗超が閉店し、運営会社の株式はわずか5,800万円で売却された。急拡大の歪み、加盟者へのサポート不足、原材料高騰が重なった結果だ。

日高屋のFC展開は、鰻の成瀬とは真逆のアプローチだ。50年以上の直営実績があり、法人パートナーとの提携型で、まず10店舗から始める。急拡大型のリスクは低いと言える。

加盟者(法人パートナー)にとってのメリットとリスク

メリット

1. 圧倒的なブランド力と実績

日高屋は首都圏で知名度が非常に高く、メニューの価格帯(ラーメン390円〜)も競争力がある。地方に出店しても「あの日高屋が来た」という話題性は十分にある。

2. 業績が安定している本部

売上620億円超、営業利益65億円、2年連続最高益。FC本部の業績が安定していることは、加盟者にとって「本部が突然なくなるリスク」が低いことを意味する。鰻の成瀬のように運営会社が売却される心配は現時点では小さい。

3. シンプルなオペレーション

日高屋のメニューはラーメン・餃子・定食がメインで、調理工程が比較的シンプルだ。セントラルキッチン方式を採用しており、店舗での調理負担は抑えられている。

リスク

1. 初期投資は4,000万〜8,000万円と推定される

当サイトのデータでは、日高屋の初期投資は4,000万〜8,000万円と推定されています。同業他社と比較すると以下の通りです。

| チェーン | 初期投資(推定) | 店舗数 |

|---------|----------------|--------|

| 日高屋 | 4,000万〜8,000万円 | 450超 |

| 幸楽苑 | 約6,000万円 | 380 |

| 大阪王将 | 2,800万〜4,500万円 | 350超 |

| リンガーハット | 4,000万〜8,000万円 | 580超 |

| 餃子の王将 | 約5,000万円 | ※非公開 |

※これらは当サイト調査時点の推定値です。正確な金額は各FC本部に直接ご確認ください。

日高屋の初期投資は業界平均的な水準だが、大阪王将と比べると高い。地方の郊外ロードサイド出店となれば、物件取得費も加算される。

2. 地方×郊外ロードサイドは「日高屋の未知の領域」

日高屋の成功要因は「首都圏」「駅前1階」「サラリーマンのちょい飲み需要」だ。地方のロードサイドでは、客層も利用シーンも異なる。オーシャンシステムとの提携ではファミリー層の開拓を狙うとされているが、これは日高屋にとって未経験の領域だ。

「首都圏駅前で成功したモデルが、地方郊外でそのまま通用するか」は未証明であり、最初の10店舗の結果次第で大きく方針が変わる可能性がある。

3. FC展開の実績がゼロ

日高屋のFC展開は2026年4月が初めてだ。50年の直営実績はあるが、FC本部としての実績はゼロだ。加盟者へのサポート体制、研修制度、トラブル時の対応マニュアルなどは、これから構築していく段階にある。

FC展開初期は「本部側も手探り」であることが多い。良く言えば「一緒に作っていける」関係だが、悪く言えば「サポート体制が整っていない」リスクがある。

個人で加盟できるのか?

現時点では、日高屋は個人加盟者の募集は行っていないとみられる。

最初のFC契約は「社員独立以外のFC契約も初の事例」と報じられており、あくまで法人パートナーとの提携が前提だ。将来的に個人向けFC募集が始まる可能性はあるが、現状では「脱サラして日高屋のFCをやりたい」という個人には門戸が開かれていない。

他のチェーンとの比較で見えてくること

ちなみに、直営主体から FC 展開へ舵を切ったチェーンは日高屋だけではない。幸楽苑は初期投資約6,000万円で380店舗を展開し、大阪王将は2,800万〜4,500万円と比較的低い初期投資で350店舗超まで伸ばした。リンガーハットは日高屋と同水準の4,000万〜8,000万円で580店舗超だ。

共通しているのは、FC展開の成否を分けるのは「ブランド力」よりも「加盟者サポートの質」だという点だ。ブランドが強くても、研修が不十分だったり、エリアの商圏分析が甘かったりすれば加盟者は苦しむ。日高屋がこれまで直営で培ったオペレーションの精度を、FC加盟者にどこまで移転できるかが成功の鍵を握っている。

まとめ——日高屋のFC展開は「様子見」が正解

日高屋のFC展開は、急拡大型ではなく慎重な提携型だ。50年の直営実績・安定した業績・法人パートナーとの提携という3点は、FC加盟のリスクを低減する要素ではある。

ただし、以下の点は冷静に見ておくべきだ。

日高屋のFC加盟を検討している法人にとっては、まず新潟での実績(売上・集客・オペレーション)が出てくるのを待ち、その数字を見てから判断するのが賢明だろう。

「日高屋がFCを始めた」というニュースだけで飛びつくのではなく、実績データが揃うまで待つこと——それが、FC加盟で失敗しないための基本原則だ。

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