FC加盟者のための中立情報サイト

フランチャイズ通信簿 編集部

フランチャイズ加盟後の「働き方」の現実——週80時間のコンビニと週15時間の無人系FC、業種で変わる労働時間の真実

フランチャイズ加盟後の「働き方」の現実——週80時間のコンビニと週15時間の無人系FC、業種で変わる労働時間の真実
Photo by Unsplash

フランチャイズ説明会では、こんなことは話してくれない。

「月商800万、オーナー収入50万」という数字の裏に、週80時間労働が隠れていることを。

あるコンビニFCオーナーは、開業3年目に救急搬送された。夜中に体調が悪化したにもかかわらず、翌朝のシフトが入っていたため無理して出勤した結果だった。店舗は都市部の駅前立地で売上は好調。しかし、アルバイトが定着せず、自分と妻で週7日を回す生活が続いていた。「お金の問題じゃなかった。体が持たなかった」と彼は言った。

一方で、同じ時期に無人フィットネスFCを開業した別のオーナーは、全く異なる話をしていた。「週に2〜3回、2時間程度の巡回と顧客対応が主な仕事です。会員が勝手に来て、勝手に帰っていく」。初期費用は2,000万円を超えるが、人件費はほぼゼロ。スタッフ採用のストレスもない。

フランチャイズは「業種」によって、求められる労働時間が劇的に違う。この違いを知らずに加盟すると、「こんなはずじゃなかった」という後悔につながる。今回は、業種別の労働時間の実態と、「働き方」から逆算してFCを選ぶ視点を整理する。

コンビニFCオーナーの「週80時間」は本当か

コンビニFCは国内最大規模のフランチャイズ業態だ。セブン-イレブンは国内21,327店舗(2025年現在)、ファミリーマートは16,252店舗(2024年12月末)、ローソンは7,000店舗超を展開している。

加盟金はセブン-イレブン・ファミリーマートが150〜300万円、ローソンが500万円程度と、FC本部が内装費の一部を負担する仕組みが採られているため、初期費用は飲食系と比べると抑えられる場合がある。

問題は「開業後の労働時間」だ。コンビニの営業は基本24時間365日。セブン-イレブンは「人手不足を理由に時短営業を認めない」として公正取引委員会から行政指導を受けた歴史があり、一部で改善が進んでいるが、多くの店舗でオーナー自身が週60〜80時間以上を店頭で働いている実態がある。

アルバイトの採用・管理、発注・在庫管理、廃棄ロスの処理——これらは全てオーナーの仕事だ。人が集まらない地域では、オーナー夫婦が事実上の「24時間シフト」を組む例も少なくない。

「売上が高い=楽に稼げる」は幻想だ。売上800万円の店舗でも、粗利分配後のオーナー手取りが50〜80万円で、週70時間労働というケースが現実にある。時給換算すれば最低賃金を下回ることさえある。

飲食FC:仕込みと調理が生む「見えない労働時間」

ラーメン・カフェ・定食系の飲食FCでも、労働時間は長くなりがちだ。

開店前の仕込みが1〜2時間、ランチ・ディナーのピーク対応、閉店後の清掃・翌日の準備——これを週6日こなすと、週70〜80時間になることも珍しくない。調理経験がないまま加盟した場合、メニューの品質管理と提供速度を同時に習得する必要があり、開業当初の負担はさらに大きくなる。

一方、むさしの森珈琲(初期投資1億200万円)やコメダ珈琲店(同8,000万円)など、高額投資型カフェFCは、スタッフを複数雇用することが前提の設計だ。オーナーの「手を動かす時間」は短くなるが、スタッフ採用・管理・教育というマネジメントの負担が代わりに生まれる。形が違うだけで、労働集約型であることには変わりない。

「料理が好きだからカフェFCにした」という動機は否定しないが、好きな料理をひたすら作り続けることと、店舗経営は別物だ。オーナーが現場に立ち続ける年数を、事前に計算しておく必要がある。

無人・省人型FCが注目される理由

近年、労働時間が少ないビジネスモデルのFCが増えている。

その代表が24時間フィットネスジムだ。エニタイムフィットネス(1,150店舗超、初期2,000万円)、チョコザップ(1,500店舗以上、初期2,200〜3,500万円)は、スタッフを配置せず、会員がICカードや顔認証で入退場するモデルだ。

オーナーの主な業務は設備メンテナンスの確認、清掃業者の管理、会員からの問い合わせ対応など。慣れれば週10〜25時間程度で運営できるという声が多い。深夜も含めて自動で動き続ける店舗は、「時間を売るビジネス」から「場所を貸すビジネス」への転換を意味する。

ただし、初期投資が2,000万円を超える点は無視できない。「省力化のためにお金を出す」という考え方であり、資金力がない段階で無理に加盟するとキャッシュフローが苦しくなる。節約した時間の分、返済プレッシャーが増すという側面もある。

ハウスクリーニングFCも比較的コントロールしやすい業態だ。おそうじ本舗(1,700店舗、初期350〜500万円)、カバーオール(900店舗、初期250〜500万円)などは、基本的に1人での出動が可能で、1日5〜7件のクリーニングをこなす仕組み。繁忙期を除けば週40〜50時間の範囲に収まりやすく、体力的な制約はあるが労働時間の予測がしやすい。

業種別「労働時間の目安」を並べると何が見えるか

業種ごとのおおよその労働時間を整理すると、以下のようになる。

この差は「体力」や「やる気」の問題ではなく、ビジネスモデルの構造から来ている。

労働集約型のビジネス(飲食・コンビニ)は、人を雇うかオーナーが働くかしかなく、人件費との兼ね合いで限界がある。設備・場所を提供するビジネス(フィットネス・コインランドリー)は初期投資が高いが、ランニングの省力化が可能だ。

どちらが優れているのではない。自分が「何を売りたいか」と「どう働きたいか」が一致しているかどうかが重要なのだ。

フランチャイズ加盟前に「働き方」を設計するということ

フランチャイズの説明会では「月商○○万円」「ロイヤルティ○%」という数字は示される。しかし「あなたは週何時間働くことになるか」を正直に教えてくれる本部は少ない

加盟前に確認すべき問いがある。

フランチャイズは「自分のペースで働ける独立」と思われがちだが、それは業種によって大きく異なる。コンビニオーナーになれば、FC本部のルールに縛られた「週80時間のサラリーマン」になる可能性がある。一方、設備投資型のFCを選べば、初期資金は大きくかかっても「週20時間のオーナー」になれる可能性がある。

どちらが正解かは、あなたの資金状況・家族状況・体力・価値観によって異なる。しかし「何時間働くことになるのか」を加盟前に把握していないなら、それは重大な情報不足だ。

フランチャイズを選ぶとき、「何を売りたいか」だけでなく「どう働きたいか」を軸に考えてほしい。それが、10年後に後悔しないための最初の設計だと、私は思っている。

フランチャイズ通信簿では、393以上のFCブランドの加盟金・ロイヤリティ・評判を中立的にまとめています。加盟前の情報収集にぜひご活用ください。

FC一覧を見る