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フランチャイズデータバンク 編集部

最低賃金1,500円時代にFCは儲かるか——業種別人件費シミュレーション

最低賃金1,500円時代にFCは儲かるか——業種別人件費シミュレーション
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「最低賃金が上がれば、中小企業はやっていけない」

飲食系FCオーナーがこう嘆くのをここ数年で何度も聞いてきた。2026年現在、日本の最低賃金は地域差があるものの都市部では1,200〜1,280円前後まで上昇しており、政府は全国加重平均での「1,500円実現」を中期的な目標として掲げている。

仮に最低賃金が1,500円に達した場合、フランチャイズ加盟者の収益構造はどう変わるのか。業種ごとに人件費シミュレーションを行い、生き残れる業種と厳しくなる業種を整理した。

結論から先に言う。「無人・セルフ系」と「高付加価値・少人数スタッフ型」は影響を吸収できる可能性が高い。しかし「労働集約型の飲食・コンビニ」は、構造的に非常に苦しい時代に入る。

「+250円」が年間でどれだけの数字になるか

現状の平均時給(都市部・1,250円想定)から1,500円に引き上げた場合の増加幅は、時給換算で+250円(約20%増)だ。

月200時間勤務のフルタイムスタッフ1人あたりで計算すると:

もしスタッフが5人いる店舗では、年間で+300万円の人件費増になる。さらに社会保険料(事業主負担分は給与の約15%)が連動して増えるため、実質的な負担増は年+350〜380万円に達する。

「今は黒字」でも、賃金上昇後に赤字転落しないかどうかを今から試算しておく必要がある。

コンビニ——最も打撃が大きい業種

コンビニは24時間365日の営業が基本で、最低でも常時2〜3名のスタッフが必要だ。

月次人件費シミュレーション(都市部・標準的な100坪クラス店舗):

フランチャイズ通信簿のデータでは、セブン-イレブン(21,327店)のFCスコアは46.2点にとどまる。口コミでは「手取りが年200〜300万円」という声も多く、そこから年間540万円の人件費増は廃業水準の打撃だ。

比較的スコアが高いポプラ(76.7点)でも店舗数は368店と小規模チェーンのため、支援体制に限りがある。

コンビニFCに加盟する場合、「セルフレジ・省力化設備の導入費を本部が補助してくれるか」が選定基準の一つになる。 人件費上昇に対してシステム投資で対応できるかどうかで、生き残れる店舗と廃業する店舗が分かれていくはずだ。

飲食(居酒屋・ラーメン)——業種平均スコア最低クラスが更に苦境

飲食業は労働集約度が高く、当サイトの業種別スコア分析でも全業種中最低水準が続いている。飲食(居酒屋・バー)系は94社が登録されており、業種内の平均スコアは低い。

居酒屋FCの月次人件費試算(30席・1日平均売上35万円・週6日営業):

月次売上が350万円の居酒屋FCで、原価30%(105万円)・ロイヤルティ5%(17.5万円)・賃料25万円・その他固定費30万円を引くと、利益は69.5万円。そこから人件費113.8万円を引くと、すでに月44万円の赤字という構造になる。

実態はオーナー自身もカウンターに入ることで人件費を圧縮しているが、それも限界がある。最低賃金が上がるほど「オーナーの労力で埋める」戦略が通じにくくなる。

ラーメン系FC(84社登録)も同様の構造で、スープ調理に早朝から人手が必要な業態では、ピーク時外の人件費が重くのしかかる。

弁当・宅配FC——人件費は中程度、スコアは良好

まごころ弁当(FCスコア87.5点・1,000店舗規模)やほっともっと(FCスコア79.6点・2,424店舗)は、飲食系の中で人件費効率が比較的良い業態だ。

特に高齢者向け配食サービス(まごころ弁当系)は:

まごころ弁当(初期投資200〜500万円)の月次人件費試算:

コンビニや居酒屋と比べると影響は限定的だ。また配食サービスは高齢化で需要が右肩上がりであることから、価格転嫁(食事単価の引き上げ)がしやすいという強みもある。

ただし近年、最低賃金の上昇は都市部だけの問題ではなくなっており、地方の配食エリアでも「時給1,500円を超えないと配達スタッフが集まらない」地域が出始めている点は注意が必要だ。

フィットネス——無人型と有人型で明暗が分かれる

フィットネス業界は「無人・セルフ型」と「有人型」で人件費構造が根本的に異なり、最低賃金上昇の影響も全く別の話になる。

24時間無人型フィットネス(チョコザップ系・FCスコア60.2点・1,500店舗超):

有人型ストレッチ・パーソナルジム系(かたぎり塾等・FCスコア58.3点・200店舗超):

無人型フィットネスは人件費上昇に対して最も耐性が高い。ただしチョコザップは初期投資が2,200〜3,500万円と高額なため、人件費メリットだけで選ぶのは危険だ。投資回収期間も長くなることを考慮に入れる必要がある。

介護・福祉FC——制度に守られながらも採用難という別の問題

介護FCは人件費上昇の影響を他業種とは異なる形で受ける。介護報酬の単価が国によって決まっているため、人件費が上がっても「サービス単価を上げる」ことができないのが最大の特徴だ。

一方で、政府は介護人材不足解消のために処遇改善加算制度を設けており、最低賃金上昇の一部は公的補助でカバーされる仕組みになっている。

スカイセブンモバイル(FCスコア77.0点)などスコアが高い介護系FCは、こうした制度活用のサポートを充実させているケースが多い。

ただし補助金の申請・管理が煩雑で、小規模FC加盟者には大きな負担になる。本部が制度対応を代行・支援してくれるかどうかが、加盟先選定の重要な基準になる。

また介護業界では「最低賃金は上がったが、もともと賃金水準が低い職種なので上昇幅が大きく感じられる」という問題があり、採用競争が激化している。

1,500円時代に「選ぶべき業種」の3条件

今回のシミュレーションをまとめると、人件費上昇に耐えられるFC業種には共通する条件がある。

条件1:人件費比率が売上の30%未満であること

飲食系は人件費・原価・賃料を合わせると売上の80〜90%に達するケースもある。人件費比率20〜25%以下に抑えられる業態(高単価サービス、無人型、少スタッフ型)が生き残りやすい。

条件2:省力化・自動化設備を本部が提供・補助していること

セルフレジ、自動調理機、AI発注システムなどの設備を加盟時から使える環境かどうかは、長期的な人件費抑制に直結する。本部が独自開発したシステムを持ち、加盟者に提供している本部は評価できる。

条件3:付加価値が高く、価格転嫁ができること

低価格帯の業態(100円ショップ系、激安居酒屋など)は、人件費上昇分を価格に転嫁すると顧客が離れるジレンマがある。高付加価値・専門性の高いサービスを提供する業態ほど、値上げ耐性がある。

加盟前に「1,500円シナリオ」での収支を試算すること

本部が提示する「平均月収シミュレーション」は、現在の賃金水準で計算されていることがほとんどだ。5年後・10年後の最低賃金が1,500円に達したときに赤字転落しないかどうかを、自分で試算しておくことが加盟判断の必須条件になっている。

説明会では「最低賃金が1,500円になったときの収支はどう変わりますか」と直接質問してみよう。答えが曖昧だったり「その頃には売上も伸びているはず」という根拠のない楽観論だったりする本部は、この問題と正面から向き合えていない。

計算式はシンプルだ。

```

現在の月次人件費 × (1,500 ÷ 現在の実質平均時給) = 1,500円時代の月次人件費

増加額 = 1,500円時代の月次人件費 - 現在の月次人件費

```

この増加額が「現在の月次利益の何%を占めるか」を計算すれば、業態ごとのリスクが一目でわかる。

フランチャイズ通信簿(fc-databank.com)では1,200社超のFCデータと業種別のスコアを無料で確認できる。人件費上昇への対応力という観点でも、本部を比較する材料として役立てていただければ幸いだ。

「今は大丈夫」は未来の安全を保証しない。賃金上昇というマクロの波に対して、加盟前に自分の船がどれだけ耐えられるかを確かめておくことが、FC加盟を成功に近づける第一歩だと思う。

フランチャイズデータバンクでは、1,122以上のFCブランドの加盟金・ロイヤリティ・評判を中立的にまとめています。加盟前の情報収集にぜひご活用ください。

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