2026年・撤退が加速しているFC業種ランキング——廃業データが示す「今危ない業種」の共通パターン
「FCを始めるなら今が最後のチャンスです」
ある説明会でそう言われた40代の会社員が、私のところに相談に来たのは3ヶ月前のことだった。彼が検討していたのは、かつて急成長した飲食系のフランチャイズ。資料には「全国250店舗展開中」と書いてあったが、私が調べてみると、ピーク時から90店舗以上が閉まっていた。
「今が最後のチャンス」は本当だった。ただし、本部が意図した意味とは逆の方向で。
2026年、FC業界では静かに——しかし確実に——撤退の波が広がっている。表に出てくる数字は「廃業○件」というシンプルなものだが、業種ごとにパターンがまったく異なる。フランチャイズ加盟を検討しているあなたに、データが示す「今危ない業種」の実態を正直に伝えたい。
分析の前提:何を「危ない」と判断するか
今回の分析は、当サイトが独自にスコアリングした746社のFCデータをもとにしている。スコアは0〜100点で、情報開示の透明性・財務健全性・サポート体制・店舗推移などを数値化したもの。スコアが低い=今後リスクが高い、という相関が実際の閉店データとも一致している。
加えて、各FCの「store_trend(店舗数推移)」データを参照した。「▼ 減少傾向」と分類されている業種・ブランドを業種別に集計すると、危険度のパターンが浮かび上がってくる。
第1位:カフェ・スイーツ系FC(業種平均スコア55.7点)
減少傾向ブランド数:業種内4社(全業種最多)
ランキングの1位は、一見すると意外かもしれない。おしゃれなカフェや映えスイーツの専門店は、街を歩けばまだまだ目につく。しかし数字を見ると実情は厳しい。
当データベースで「▼ 減少傾向」と記録されているカフェ・スイーツ系FCは4社で、全業種でもっとも多い。なかでも象徴的なのがコールドストーン・クリーマリー(国内残存1店舗)、スイーツパラダイス(30店舗まで縮小)、カフェ・ベローチェ(85店舗超から減少中)だ。
なぜカフェ系は崩れやすいのか。理由は三つある。
- 原価率の高止まり: コーヒー豆・牛乳・バターなどの原材料費が2023年以降に高騰し、FC本部が定めた「指定仕入れ価格」の値上げ転嫁が加盟者の利益を直撃している
- 回転率の構造的限界: 客単価800〜1,500円帯でも、2人掛けテーブルで長居されると1時間あたり売上が1,000円を下回る。最低賃金1,500円時代では人件費が完全に逆転する
- ブランドの「賞味期限」が短い: SNS映えを売りにした業態は、流行が過ぎると新規客が止まる。FC本部自体が次の業態を開発せず旧ブランドを放置するケースが目立つ
2026年以降も、低価格帯カフェとプレミアム路線の二極化は加速する見込みで、中間的なポジションのブランドから順に撤退していく構造になっている。
第2位:居酒屋・バー系FC(業種平均スコア58.1点)
減少傾向ブランド数:3社
居酒屋FCの危険性は以前から指摘されているが、2026年になっても改善していない。当データベースで減少傾向を記録しているのは、赤から(180店舗→縮小)、ワタミ(減少継続)、TGIフライデーズ(18店舗)の3社。
注目すべきは業種平均スコア58.1点という数字だ。これは全業種の中では中程度に見えるが、実際には「高スコアの一部ブランドが平均を引き上げている」構造になっている。具体的には、鳥貴族(スコア73点超)や串カツ田中(スコア70点台)が業種平均を底上げしており、低スコアブランドとの格差は50点以上に達する。
居酒屋FCの共通パターン:
- ランチ収益なしで家賃を払い続ける構造: 多くの居酒屋FCは夜一本足打法。日中の稼働がゼロに近いまま月々の家賃(都内で30〜80万円)が発生する
- アルコール依存体質: コロナ禍で学んだはずだが、アルコール規制・感染症・働き方変化によるアフター5文化の縮小に対して、FC本部のモデル転換が追いつかない
- 募集を続けていても実態は縮小中: FC本部は「300店舗展開」と公表していても、新規加盟より閉店の方が多いケースがある。契約前に店舗数推移の実数を必ず確認してほしい
第3位:ファミレス・定食系FC(業種平均スコア51.6点)
減少傾向ブランド数:2社
デニーズ(316店舗まで縮小)、ステーキガスト(減少継続中)の2社が確認できるが、業種平均スコア51.6点は全飲食系でも低い部類だ。
この業種の特徴は「閉店が一気に来る」点にある。ファミレス系は大型店舗を構えることが多く、一度損益分岐を割り込むと改善が難しい。固定費が大きいため、売上が1〜2割落ちるだけで赤字転落し、そのまま閉店に直結する。
第4位:フィットネス・ストレッチ系FC(業種平均スコア53.8点)
スコアが業種内で大きく分散
減少傾向に分類されたブランドは少ないが、業種平均スコア53.8点は危険水域に近い。フィットネス系が抱える構造的問題は「退会率と新規獲得コストの非対称性」だ。
チョコザップなどの低価格帯モデルが市場を圧迫する中、中価格帯(月額8,000〜15,000円)のジムFCは2024年以降に厳しさが増している。初期投資が2,000万〜6,000万円と重いにもかかわらず、解約率(月次1〜3%)が累積すると会員数が1〜2年で大幅に減少するリスクがある。
「危ない業種」に共通する3つのパターン
業種を横断して見ると、撤退が加速しているFCには共通するパターンがある。
パターン1:原価・人件費のダブル圧迫
材料費高騰と最低賃金上昇が重なる業種。価格転嫁の権限が本部にあり、加盟者が値上げできない構造では、コスト上昇分が丸ごと利益を削る。
パターン2:流行依存のビジネスモデル
SNS映えや一時的なブームを成長の柱にしているFC。ブームが過ぎても本部がモデルチェンジできず、旧来のロイヤリティ体系のまま加盟者だけが苦しむ。
パターン3:情報開示が乏しく、スコアが低い
当サイトで算出したFCスコアで50点を切るブランドは、情報開示(加盟金・ロイヤリティ・廃業率)が不十分なケースが多い。「詳細は面談で」という本部は、開示できない数字を抱えている可能性がある。
加盟検討者へのメッセージ
業種が「危ない」からといって、その業種のすべてのFCがダメというわけではない。同じ居酒屋でも、スコア73点の鳥貴族と、スコア28点台のブランドでは天と地の差がある。
大切なのは業種ではなく、個別ブランドのスコアと店舗推移を見ることだ。
加盟を検討しているFCが「▼ 減少傾向」であれば、その理由を本部に直接聞いてほしい。「一時的な整理です」「質の高い店だけ残しています」という答えが返ってくるはずだが、過去3年の閉店件数と開店件数を数字で出してもらうことが、本当の判断材料になる。
「今が最後のチャンス」という言葉は、加盟者側にも本部側にも使えてしまう言葉だ。どちらの意味なのか、データを見て自分で判断してほしい。
*フランチャイズ746社のスコアランキングと業種別データは、fc-databank.com で公開中。*