直営一筋だった老舗チェーンが、なぜ今FC解禁に動くのか——日高屋・やよい軒の決断を読み解く
date: "2026-04-17"
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description: "直営主体で成長してきた日高屋とやよい軒が、2026年に相次いでFC展開を加速。老舗チェーンがFC解禁に踏み切る背景にある3つの構造的理由と、加盟検討者にとっての意味を解説します。"
keywords: ["フランチャイズ", "日高屋 FC", "やよい軒 フランチャイズ", "直営 FC 転換", "FC加盟"]
platform: "note"
フランチャイズの世界には、2つのタイプのチェーンがあります。
ひとつは、最初からFC加盟者を募集して店舗を広げていくタイプ。コンビニ大手やハウスクリーニングチェーンのような、いわば「FC前提」のビジネスモデルです。
もうひとつは、自社で直接店舗を運営し、FC募集をしてこなかったタイプ。「自分たちの手で品質を守る」という哲学で成長してきたチェーンです。
2026年、後者の代表格ともいえる2つのチェーンが、相次いでFC展開に動き出しました。日高屋とやよい軒です。
なぜ今なのか。そして、これは加盟を検討する側にとって「チャンス」なのか「リスク」なのか。数字と事実から読み解きます。
日高屋——関東450店舗、初めてのFC出店
日高屋(ハイデイ日高)は、東京を中心に450店舗超を展開する中華チェーンです。「ラーメン×ちょい飲み」という独自の業態で、駅前一等地にドミナント出店してきました。
その日高屋が、2026年4月にひとつの決断をしました。
新潟県で、初のFC店舗をオープンしたのです。
パートナーは、新潟地盤の食品スーパー「オーシャンシステム」。これまで30年以上にわたり直営一本で運営してきたチェーンにとって、社員独立以外のFC契約は初めてのことです。しかも約10店舗の出店計画付き。「試しに1店舗」ではなく、明確な戦略として打ち出しています。
ちなみに、日高屋の業績は好調そのもの。2025年2月期に売上620億円超、営業利益65億円と2年連続の最高益を達成しています。
つまり、業績不振でFC化を余儀なくされたわけではない。好調な今だからこそ、次の成長戦略としてFC展開を選んだということです。
やよい軒——海外250店舗のプレナスが、国内FCに本腰
もうひとつの注目はやよい軒(プレナス)です。
やよい軒は国内で定食チェーンとして知られていますが、実はタイ・台湾・オーストラリアなどで250店舗超を展開するグローバルチェーンでもあります。海外では早くからFC方式を採用してきました。
2026年4月、プレナスの北海道支社がエリアマーケティング戦略の強化によるFC出店拡大を発表しました。地域の食文化や競合状況を精密に分析し、加盟店の成功率を高める「地域密着型の多店舗展開モデル」を推進する方針です。
海外で培ったFC運営のノウハウを、本格的に国内に持ち込もうとしている構図が見えてきます。
なぜ「今」動くのか——3つの構造的理由
日高屋もやよい軒も、突然思い立ってFC化したわけではありません。両社が「今」動く背景には、飲食業界全体に共通する3つの構造的な力学が働いています。
理由1: 人手不足が「直営モデルの限界」を突きつけている
飲食業の人手不足は年々深刻化しています。特に地方・郊外への出店では、本社からの人材派遣や管理体制の維持が大きなコスト要因になります。
FC方式であれば、地元の事業者が自らの資金と人脈で店舗を運営します。本部は出店コストを抑えながら、ブランドのカバレッジを広げられる。日高屋が新潟の食品スーパーと組んだのは、まさに「地元の力を借りる」戦略です。
理由2: 関東圏・都市部の飽和
日高屋は関東圏の駅前一等地を中心に出店してきましたが、好立地はすでに埋まりつつあります。新規出店の余地が限られる中で、成長を続けるには「まだ出店していないエリア」に打って出る必要があります。
しかし、関東以外のエリアでは本部から直接管理するコストが跳ね上がります。FC方式であれば、地元に根付いた事業者がオペレーションを担うため、遠隔地でも展開が可能になります。
理由3: 食材調達力と供給網の「武器化」
大手チェーンが持つ最大の武器は、大量仕入れによる食材調達コストの優位性です。FC加盟店が増えれば仕入れ量が増え、さらにスケールメリットが効く。
やよい軒のプレナスは、もともと弁当事業(ほっともっと)で培った大規模サプライチェーンを持っています。この調達網にFC加盟店を乗せることで、加盟店の原価を抑えつつ本部の仕入れスケールも拡大できる。WIN-WINの構造が成立します。
加盟検討者にとって「チャンス」か「リスク」か
ここからが、FC加盟を検討している方にとって最も重要なポイントです。
チャンスといえる理由
ブランド力が確立されていることは明確なメリットです。日高屋は関東で30年以上の実績、やよい軒は全国的な知名度を持っています。新興チェーンと違い、消費者からの認知がすでにあるため、集客のゼロスタートにはなりません。
業績の裏付けがある点も見逃せません。日高屋は売上620億円超で最高益更新中。「FC化して延命を図る」企業とは根本的に異なります。
リスクといえる理由
一方で、FC運営のノウハウが蓄積されていない可能性は考慮すべきです。直営で30年やってきたチェーンは、FC加盟者への支援体制——SV巡回、トラブル対応、収益改善指導——の経験が浅い場合があります。
日高屋もやよい軒も、一般の個人向けにFC募集は行っていません。法人パートナーとの提携が基本です。これは「個人でも加盟できるFC」を探している方にとっては選択肢に入りにくい現状を意味します。
また、老舗チェーンのFC化には契約条件が不透明というリスクもあります。日高屋の場合、加盟金・ロイヤリティ率は非公開です。比較検討のための情報が少ないまま判断を迫られる可能性があります。
老舗チェーンの「FC元年」に見る業界の潮流
日高屋とやよい軒の動きは、個別の企業戦略というより、飲食業界全体の構造変化を映し出しています。
- 直営モデルの成長限界(人手不足・出店余地の縮小)
- FC方式による地方展開の合理性
- 大手ブランドのFC市場への参入が加速
これは加盟検討者にとって、選択肢が増えるということでもあります。
これまでのFC市場は「最初からFC前提で作られたチェーン」が中心でした。そこに、直営で実績を積んだブランドが参入してくる。競争が激しくなる半面、加盟先の品質は底上げされる可能性があります。
まとめ——「なぜFC化するのか」を見極める
老舗チェーンのFC化を検討する際、最も重要な問いは「なぜ今FC化するのか」です。
- 攻めのFC化: 業績好調で、さらなる成長のためにFC展開する(日高屋のケース)
- 守りのFC化: 業績悪化で、直営のコストを下げるためにFC転換する
この違いを見極めることが、加盟判断の第一歩になります。
本部の決算書を読み、店舗数の推移を追い、FC化の理由を本部に直接質問する。地味ですが、これが最も確実な判断材料です。
「老舗ブランドだから安心」とも「FC化に不慣れだから危険」とも、一概には言えません。大切なのは、数字と事実に基づいて、自分の目で判断すること。
FC加盟は、誰かの判断を借りるのではなく、自分の判断で決めるものです。